本日(2012/12/25)の東京新聞のメディア観望にある記事は、
最近の欧州の脱原発の動きが説明されていて、大変参考になる記事だ。
しかし、今回の衆院選挙の結果や、選挙制度に対する認識の甘さが
感じられるので、若干苦言を呈したい。
最後の段落『市民の声伝える意味』のところだ。
『代議制民主主義の危機』として、フランスの政治学者の言を引用しながら
『民主主義も専横的な政治も少数者による支配にある点で変わりがないと
警告する。』
日本では、族議員や世襲といった少数者の政治が続いている。政治に
民意を反映させるにはメディアが市民の声を伝え続けるほかない。
とある。
このフランス政治学者の『民主主義否定論』は、論外だが、
『少数者による支配』の根本原因は、小選挙区制という選挙制度に
あることは、支持率わずか2割の自民党が政権復帰できるわけ・・・小選挙区制の怪
にも示した。
ところが、このような記事を見ると、わが国の選挙制度の持つ本質的問題点を、
果たして認識しているのだろうか、と疑問を感じざるを得ない。
民意を反映させる上での、メディアの役割は否定しないが、民意を反映させる
ものは、選挙制度以外にない。
したがって、この選挙制度の持つ問題点の説明を抜きにして、
単にメディアの役割だけを強調するのは、無知からなのか、あるいは意識的なのか。
もし後者だとするならば、これは、メディアの選挙問題隠し戦略の一環だ、と
非難されてもしかたがない。
いずれにしても、前回の『衆院比例定数削減』問題と言い、今回の問題と言い、
選挙制度問題への認識の甘さが目立ったので、あえて苦言を呈した。
東京新聞(2012/12/25)