本日(2011/3/24)のNHKスペシャルは、福島県浪江町の町長以下、町民の放射能汚染地区への帰還問題を扱っていた。
紆余曲折は、いろいろあったが、結局、政府補助による除染も50%しか実施しないのであれば、やはり帰還は無理だ、ということで代替地の要望をまずは、町長に出そう、ということになった。
その間のなみなみならぬ、町民の悩む姿には、涙ぐましいものがあり、その点は、NHKのカメラマンも、よく撮影した、と感じた。
しかし、問題は、NHKの解説スタンスだ。
ひとことも、
『この問題は本来ならば、政府が責任をもって、住民の意見をまとめながら代替地の選定を、実施していくべき問題である』
というような趣旨の政府批判がまったく聞こえてこなかったことだ。こういっては失礼だが、ラジオの文化放送とか、東京放送は、堂々と政府批判を展開している。しかし、NHKは、まさに、政府宣伝部隊としか言いようがない。避難するも帰還するも、町民が自分で決めるのだ、と言うスタンスだった。これに対して、ある婦人町民が、憤る部分はあったが、これに対してもノーコメントだった。
1986年に起きたチェルノブイリ事故当時の、NHKスペシャルでは、当時のNHKは、ソ連政府の前述のような無責任なやり方に対しては、その責任を追及していたが、自国政府のことになると、何にもいえない公共放送どころか、逆に政府宣伝を巧妙に放送する政府の手先になりさがったことがよくわかる番組だった。
NHKのスタンスは、まさに題名に表れている。
『故郷(ふるさと)か移住か~原発避難者たちの決断~』
これは明らかに原発避難者たちに、その責任を押し付けている言い方だ。
本来なら、
① 政府が音頭を取って、住民の意見をいくつかのメニューに集約してとりそろえ、
② さあ、このいくつかのメニューの中から、住民の皆様どれがよろしいでしょうか?
といって、差し出されたメニューの中から、原発避難者たちが決断すべきものだと思う。
ところが、実態は、①が全くなくて、②だけ、いや、それも、自分で勝手に決めなさい、代替地は自分で探しなさい、ということだけだ。これでは、福島県民はまったく浮かばれない。
まさに、政府は福島県民を『棄民』した野田。これに対して憤っている、福島県民は、いまや大多数に上っていると思うが、NHKは決して報道しないだろう。