1 マスメディアや政治家の世論操作
本日(2011/8/25)の朝日の社説(下記①)
『代表選に問う 復興増税から逃げるな』
では、復興に要する財源について、前段で、いろいろ言ってるが、結局、最後で
『次の世代に負担を先送りせず、今を生きる世代全体で連帯し、負担を分かち合う』
べきだ、と消費税増税論だ。
また、今回の民主党代表選の候補者5人の増税に関する政策マップが、下記②に漫画化されているが、いずれも、表向きは、増税反対もしくは、慎重論だが、中身は、消費税増税で一致している。
2 貧富格差を拡大した富裕層減税と、その道具としての消費税導入
わが国ばかりではなく、先進国を含む、ほとんどの国において、一国の富のほとんど(8~9割)を、全世帯のわずか1~2割の大富豪層が保有している、というのが、今、はやりの『80対20の法則 』 どおりの真実だ。特に英・米において顕著。
これは、1970年代から80年代にかけてイギリスを皮切りに実施された高額所得層の累進課税率の大幅引き下げ、という富裕層優遇策によって、それまで、税金として徴収されていた莫大な富が、免税となり、それがそのまま富裕層のふところに残ることとなって、これが、たまりにたまって莫大な蓄財となった、というわけだ。
そして、大富豪層の払っていたこの莫大な税金の減少分(あるいは、より正確にいえば、脱税分)を、一般大衆に押し付けるために消費税を導入したわけだ。つまり、消費税は、富裕層の”脱税”蓄財の道具として登場した。ところが、この消費税は、一般大衆の低賃金構造から、期待どうりの税収があがらず、すぐに3%から5%に引き上げたが、それでも税収不足で、しようがなく赤字国債を連発することとなった。また、当然のことながら、一般大衆の年収は、この消費税のおかげでさらに冷え込み、貧富の大格差社会の到来となったわけだ。
これが、歴然たる現代史的事実だ。
したがって、税収が大幅に減って、赤字国債体質に転落してきたのは、景気悪化が原因ではない。大富豪層に対する大減税が、最大の原因だ。その証拠に、大富豪がいかに富を蓄えてきたか、の一端をデータで見てみよう。次の表は、各指標の1980年と2011年の比較だ。
1980.4 | 2011.3 | 伸び率 | |
物価指数 | 76.3 | 99.9 | 1.31倍 |
実質GDP | 284.38兆円 | 539.74兆円 | 1.90倍 |
家計の純資産(資産-負債) | 238.78兆円 | 1110.1兆円 | 4.65倍 |
1980年から2011年への物価指数の伸びは、わずか1.31倍、実質GDPの伸びも1.90倍だが、家計の純資産の伸びは、実に4.65倍にも達している。
以上のように消費税導入時の経緯が歴然としてあるにもかかわらず、それには一切触れずに、税金の財源には、消費税増税しかない、とは、いったいどういうことなのか。
3 『財源には消費税増税しかない』 は、なぜか?
(1) 大半の国民の年間所得とマスメディアに登場する人物の年間所得は
厚労省の平成21年調査の所得分布 によると、わが国の、年間平均所得は、547万円だが、中央値は、427万円だ。つまり、国民の半数は、年間所得427万円以下だ、ということだ。
しかし、テレビやラジオに出てくるニュースキャスタとか、政治評論家、民主党や自民党など、永田町や霞ヶ関の連中の年間所得は、少なく見積もっても、みな、1000万円以上だ。今、見た厚労省の所得分布から見れば、年間所得1000万円以上は、わずか、12.4%。つまり、圧倒的多数の87.6%の世帯が、それ以下だ、ということだ。
(2) 富裕層への昭和50年代税率の復活適用と臨時特別資産税
私の試算によれば、年間所得1000万円以上に対してだけ、昭和50年代の所得税率を復活適用すれば、それだけで、年間5兆円の増収が期待できる。さらに、大富豪層の蓄積された莫大な富に対して、臨時特別資産税を課すれば、税率5%で、26.3兆円、10%で52.7兆円と莫大な税収が得られることとなり、消費税増税は、全く必要なくなる。
これらの額は莫大過ぎて、ちょっとひるんでしまうかも知れないが、そんなことはない。これは、1980~90年代に大富豪層に対して実施した大減税によって、その後現在にいたるまで、われわれが取りそこなった税金のごく一部にすぎない。堂々と請求できるものだ。
(3) 『消費税増税!』 しか言えない理由
1000万円以上の富裕層に、過去の正当な所得税率を適用するだけで、消費税増税論は、吹っ飛んでしまう。しかし、永田町や霞ヶ関、マスメディアや有識者は、みな1000万円以上もらっているので、自分の首を絞めるようなことは一切禁句だ。そして、『消費税増税』の大合唱となる。この大合唱をズーッと聞いていると、『そんなもんか、やむをえないか』という気にもなるが、そこが彼らのねらいだ。
われわれ圧倒的多数90%の年間所得1000万円以下の国民は、今こそだまされてはいけない。『原発安全神話』にだまされて、将来にわたって、無限大の損失を負ったわれわれは、いまや、『今の世代全体で、連帯し、負担を分かち合』おうという、喧伝にだまされてはいけない。
大金持ちから、『カネアマリ』 から、ガッチリ引き出して、生活の足しにしていく。そうすればマネーゲームも沈静化し、バブル防止もでき、お金の有効活用がはかれるようになる。
詳細は、『消費税増税、不要!『カネアマリ』富裕層から特別資産税・復活所得税で31~57兆円! 』 にあるので、お読みください。
① 朝日 2011/8/25 社説
② 朝日 2011/8/25
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