いまの日本の低成長は、民間企業の投資意欲が少なくなっているため、
やむをえないこと、
また、日本は成熟社会の段階に入ったため、もはや成長する必要は
ないから、いまの低成長のままでいいのだ、
さらに、このようなデフレの時代には大いに節約することが大切。
政府にも同じことが言える、だから、緊縮財政方針が正解なのだ、
すなわち、政府の予算は、税金収入の範囲内で組むべきであり、
国債などを発行して財源を作ることは問題だ、税収の範囲内に支出を抑える、
緊縮財政方針を徹底しなければならない、
と考える人が多いのではないでしょうか。
しかし、この考えは、重大な勘違いであるとともに、危険でもあります。
この地球上に日本国だけが存在するということであれば、その考えは、
ある意味正しいと言えると思います。ある意味と言ったのは、正確に言えば、
そういう場合でも、その考えは、危険、ということです。
いまの私たちのまわりには、先進国としての高度な各種のインフラ設備が
整備されています。
これらのインフラ設備の多くは、4~50年前の高度経済成長時代につくられました。
目に見える大きなものでは、たとえば首都高速道路があります。
この首都高も作られてから4~50年たっています。
アチコチ老朽化してきており、橋桁がいつ神田川に落ちてもおかしくないほどの
劣化が進んでいる部分がかなりあると思います。
したがって、安全に過ごすためには、この老朽化した高速道路設備の更改は
不可欠です。この設備の更改には、新設時、あるいは、新設時以上に
多額の費用がかかります。すなわち、膨大な財政出動が必要なのです。
つまり、単に現状の生活レベルを維持していくためだけを考えても、
新設当時と同じ程度の設備更改投資のための財政出動が必要となります。
さらに、地球上には日本以外にも多くの国が存在し、それぞれが生き抜いて
いくための努力をし、そのレベルも日々高まりつつあります。
平和的な生活レベルから、軍事レベルまでそれこそあらゆる面で日進月歩です。
特に隣国中国の膨大な投資計画による高成長は群を抜くものがあります。
日本だけが、緊縮財政のもと、現状維持だけしていれば、見る間に相対的
発展途上国に転落し、いつしか隣接国の属国と化すことになります。
すでにGDPで日本は中国に抜かれました。
日本も科学技術やインフラ整備などあらゆる分野で財政支出を惜しまず、
長期的計画のもとに日本国の再建をはかっていく努力をしていかなければならない
タイムリミットに来ています。
しかし、いまの日本は、冒頭に申し上げたとおり国民の多くが『成長ボケ』、『節約ボケ』、
の真っただ中にいる始末ですが、実はこれらボケの主犯は財務省のプロパガンダです。
この財務省の緊縮財政方針が、我が日本国のすべての分野を貧困化・弱体化・発展
途上国化させている根本原因です。金の出し惜しみが日本を三流国化させています。
財務省は、家計やギリシャの破綻を例示して緊縮財政の必要性を説きますが、
家計やギリシャと日本政府を比較するとその間には決定的違いがあるために、
この例示は、国民をだます犯罪的ゴマカシと言えるものです。
その決定的違いとは、日本国政府には、自国通貨建て(円建て)国債を発行できる
権限があるが、家計やギリシャにはない。この違いがあるために、わが国では
国債発行によりいくらでも財政出動ができるわけです。
これについては、財務省の『外国格付け会社宛意見書要旨』 を参照すれば、
ちゃんと
『(1)日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。』
つまり、『絶対安全ですよ』と財務省がお墨付きを与えているのです。
ですから、安心して国債発行による財政出動が堂々と出来るのです。
皆さん、勘違いの中身がわかってきたと思いますが、しからば、これらの勘違いに
早く気がついて、日本を明るくなる方向に大きく転換していく必要があるんではないかと
思いますが、いかがでしょうか。