日本が直面する危機と真の実力

1 はじめに

ご案内の通り、国民負担率(総所得に対する税金+社会保険料の国民負担)は5割以上になろうとしている。江戸時代であれば、長野県上田市立博物館にも展示されている【百姓一揆】だ。

かような国民の危機的生活状況に対して国以下地方自治体含めて、すべてに、公的支援強化への動きがまったく見られない。これは現代を生きる全世代にとって、明日への希望を、無残にも打ち砕く結果となっている。

2 危機的現状

日本の現状を見てみよう。

日本経済は、農業はもとより、倒産件数などから見ても、疲弊しきった状態だ。
わが国の2024年国民一人当たり名目GDP-IMF世界ランキングは、韓国・台湾を下回る38位に転落、しかも転落は加速状況だ。

3 黒田前日銀総裁の実施した【異次元金融緩和】

【異次元金融緩和】政策とは、簡潔に言えば、

【大デフレ下すなわち大貧血=大通貨不足の日本経済に対して異次元レベルの巨額な新規通貨を供給した世紀の金融緩和】のことである。

具体的には、民間銀行が保有していた国債を日本銀行が大量に爆買いし、その購入代金として、巨額な新規通貨を日本銀行が発行して、これを、民間銀行の資産である日銀当座預金口座に供給したのである。

黒田東彦氏は、こうして、疲弊しきった日本経済復興を目指して、膨大な新規通貨を日本経済に新血液として供給しようとした。

その結果、日銀当座預金残高は、黒田総裁就任時の2013年から急激に増加し、退任の2023年には、530兆円に達した。

日銀HPの時系列統計データ検索サイトより、その模様をグラフにすると次図のようになる。

黒田氏が就任する以前の日銀当座預金残高の平均値(2000〜2012年)は、わずか20兆円程度であったことからも、彼の行った【異次元金融緩和】が、いかにすさまじいものであったか、がわかる。

しかし、彼の意に反して、この膨大な新規血液たる日銀当座預金は十分日本経済には供給されなかった。それは、政府・財務省の【財政健全化】すなわち【国民・民間企業不健全化】政策のため、国債発行に強力なブレーキがかけられていたからだ。

このため、日銀当座預金に積み上げられた膨大な新規通貨は、日本経済へ供給されることなく、滞留されたままになっている(現に2024年末現在530兆円もブタ積みされたまま滞留中)ため、貧困化にストップがかからず、先に述べたように国際転落は加速して止まらない。

4 なぜ、こうなったのか、考察する

現在の財務省幹部は、歴代東大法学部主席卒が中核となっている。その頭脳構造は【われこそは最優秀】。したがって、政治家であろうが、国民であろうが、すべてが、下に見える。表向きは、ヘイコラするが、心底では、みんな馬鹿としか思っていない。

が、しかし、彼らにも神様のように心から信奉・盲信する種族がいる。それは、同じ東大法卒の先輩達だ。なにしろ、入省早々、何もわかっていないところに、この先輩たちから、いきなり真理教ならぬ【増税は善、国債は悪】の説教を、朝から晩まで、叩き込まれる、という。

だから、たまったものではない。消費税は25%以上、独身税・走行距離税・・・と次から次へと屁理屈のつく増税項目を際限なく作り出す。

彼らの頭脳は【増税一直線】。対する国会議員は勉強不足+頭脳低廉のため、相手にならない。これでは、【外敵侵入】以前に、日本が自壊するのは明らかだ。

5 日銀当座預金の真理

ここで、財務省幹部を論破する単純だが、それ故、最強の真実・真理をご紹介しよう。

5−1 日銀当座預金の役割

日銀当座預金は、民間金融機関(以下銀行)が、日本銀行内に設定している当座預金口座であり、当然、銀行の資産である。日銀当座預金には、次の3つの役割がある。

  1. 法定準備金
  2. 銀行間決済
  3. 政府発行国債など有価証券の購入

実は、銀行は、政府発行国債の最大の購入者であり、その購入資金が、日銀当座預金である。

つまり、政府にとっては、日銀当座預金の多寡が、国債発行の動機に大きく影響する。日銀当座預金額が多ければ、それだけ、国債を発行しやすくなる、というわけだ。そのような意味で、黒田氏は、【異次元金融緩和】政策を我武者羅に実行し、日銀当座預金口座に莫大な新規通貨を供給して、その残高を膨大にして、政府の国債発行のための援軍を送ったわけだ。

民間金融機関にとっては、530兆円を無利子当座預金に預けておくよりは、安全かつ有利子国債を購入する方が、はるかに有利だから、政府が国債を発行・売却すれば、即、国債完売は、自明の理だからだ。

国債を売却するということは、政府にとっては、売却代金が入ることであり、これすなわち財源を得る、ということだ。これは、日銀当座預金が日銀政府預金、すなわち政府財源に流れる、ということであり、この財源を、国民給付とか各種事業の実施により政府が支出すれば、日銀当座預金、すなわち日銀の発行した新規通貨が、政府財源経由で、はじめて、日本経済に供給された、ということになる。

つまり、黒田氏の【異次元の金融緩和】だけでは、日本経済に新規血液は、供給されずに、日銀当座預金口座に滞留したままになっているだけであり、続く【国債発行・売却から政府支出(財政出動】がなければ、日本経済への血液供給は断たれたままになっている。

この日銀当座預金を日本経済に供給するには、

① 【政府による国債発行・売却】によって、日銀にある民間銀行の当座預金(日銀当座預金・現在530兆円)を日銀政府預金に振り込ませる
② その日銀政府預金を財源として、国民給付金とか、各種事業(農業・福祉・・・)で全額支出する

ことをしなければならない。

5−2 日銀当座預金不滅の法則

前項で述べたように政府発行の国債の最大の購入者は、銀行であるが、国債購入資金として使われるのが、日銀当座預金である。

この日銀当座預金には、実はあまり知られていないが、日本経済にとってきわめて有益な特性がある。

この特性は、前項の末尾に書いた国債発行・売却と関連してその威力を発揮する。

この威力を明らかにするために

政府の国債発行・売却⇒政府の財政出動・国民資産の増⇒日本経済内での経済活動

という一連のプロセスを簿記3級の仕分けの知識により、明らかにしていくことにより、日銀当座預金の持つ特別な威力、すなわち、

【日銀当座預金不滅の法則】

を導くことにする。

このプロセスは、次の①〜③のプロセスに整理できる。プロセスごとに、貸借対照表の仕分けをすると、以下のようになる。

① 政府が国債100を発行して、民間銀行に売却して、日銀当座預金から代金を日銀政府預金に振り込む。

借方貸方
政府日銀政府預金100国債 100
銀行国債 100日銀当座預金100


② 政府が①で得られた日銀政府預金100を使って、国民給付100と言う事業を実施し、国民に給付金100を支給する。
その具体的プロセスは、政府が日銀政府預金100を銀行の日銀当座預金(銀行の資産)に振り込む、と同時に、銀行に対して、国民の普通預金口座に100を振り込むよう指示する

借方貸方
政府国民給付事業100日銀政府預金100
銀行日銀当座預金100普通預金100
国民普通預金100

この結果、政府の国債100は国民の新たな普通預金(資産)100となる【国の借金は、国民の資産となる】財務省の【国の借金は、国民の借金】真逆のまっかなウソ

さらに

③ 国民(A銀行の普通預金)が自動車会社(B銀行の普通預金)の自動車を買う、という経済活動を実施

借方貸方
国民自動車 100普通預金 100
A銀行普通預金 100日銀当座預金100
B銀行日銀当座預金100普通預金 100
自動車会社普通預金  100自動車 100

この表をよく見ると、普通預金も、日銀当座預金も、A・B両銀行トータルでは、借方・貸方で相殺し、ゼロ(0)となる。つまり増減がない、ということは、両銀行トータルでは、日銀当座預金総額には、変化がなく、一定不変であることを示す。
これを日本経済全体に敷衍していえば、お金が、日本経済の中を回っている限り、銀行全体で見た日銀当座預金総額は、一定不変であると言える。

これから、

第一法則:【日銀当座預金不滅の法則】

が常に成立する。あるいは、昔からの言い伝え

【金は天下の回りもの】

ただし、この法則が成立するには次の条件が必要である。

【条件: 国債発行・売却で得た日銀政府預金(政府財源)は1円残らず全額支出すること】

5−3 国債は打出の小槌法則

この法則は、第一法則【日銀当座預金不滅の法則】から、必然的に導かれる法則である。

【日銀当座預金不滅の法則】とは、当初、銀行が国債を購入した時に、日銀当座預金額は支出されるため、一時的に減るが、政府が財政支出した瞬間に、そのお金は、再び、日銀当座預金に戻ってくる。このため、銀行トータルの日銀当座預金の総額は、常に、国債購入した当時の総額と同額であり、一定不変であることを示す。

したがって、国債を購入した資金は、銀行全体で見れば、常に日銀当座預金口座には同額存在するため、いつでも、政府が同額の国債を発行すれば、銀行は、これを消化しうる原資が持っている、ということになる。

つまり、政府がいつでも、国債という打出の小槌をふれば、日銀当座預金から政府の原資を容易に、増税不要で、確保することができる。

したがって

第二法則:【国債は打出の小槌法則】

が常に成立する。

6 日本の実力

6−1 悲惨な現状

冒頭にも述べたように、2024年には日本は、世界ランキング38位に転落し、ひたすら、最下位目指して転落しつつある。

これは、長年に渡る政府の経済誤策により、生じた、まことに国民にとっては不幸な人災である。

誰もが言うが、【日本人ほど勤勉でまじめに働く国民はいない】。

それにもかかわらず、国民生活がドン底状態で、自殺統計(厚労省)も下図に示すとおり、悲惨な状況にあるのは、政府の経済誤策、すなわち、すでに述べた2つの経済法則を無視して活用してこなかったことに、その原因があることは明らかである。

全世代にわたり、明日への希望のない社会に転落してしまったことを、真剣に考えなければならない。

図 自殺死亡数の年次推移(厚労省)

6−2 真の実力

しかし、先にも述べたとおり、日本人の特質は変わっていない。ベースには底力がある。

しかも、前日銀総裁の黒田東彦氏が残してくれた、莫大な財産である日銀当座預金530兆円がある。

打出の小槌でいつでも、500兆円規模の財源を作ることができる国は、そうざらにない。

しかも、その原資(日銀当座預金額)が、減らない、とくるから、黒田東彦前日銀総裁の残してくれた功績はまことに大である。

日本は世界に誇れる強力な国家なのだ。

日本国民は、大いに自信を持っていい。

ただ、現在の政府の、特に、ひとにぎりの財務省幹部の誤策によって、転落してしまった、だけなのだ。

日本が、海外に平気で金をバラまいているのは、財務省が、このことを知っているからだ。

しかし、このことは、決して口外しない。なぜならば、常に【財政危機】を訴え、【増税・社会保険料増しか財源がない】ということを国民に信じ込ませねばならないからだ。主流派経済学者も財務省の指導で口外できない。

しかし、これは、今見た単純明快な複式簿記3級の簡易貸借対照表で明白な【真実・真理】だ。遠い政府の話ではない、われわれ国民生活に直結した【真実・真理】の問題である。

さいわい、長野県知事の阿部氏が全国知事会の会長に選出されたので、全国自治体が一丸になって、この2つの法則を広く国民一般に知らしめて、増税地獄に苦しむ国民を解放しなければならない。

マスメディアは、まったく信頼できない。財務省からの資料を新聞にしているだけだからだ。

日本人を優先的に雇用すべきである。経団連などの考えも間違っている。低賃金でもうかれば良い、という【イマダケ、カネダケ、ジブンダケ】ではいけない。

福祉関係も、有資格者が、何十万人もいるのに低賃金でしか使わない。それで、内部留保するのは、大きな間違いだ。

前2項でも指摘したように、おおいに国債発行で政府原資を作れば、103万円とか178万円の壁、などチマチマした議論は、いっぺんに吹っ飛んでしまう。

特養建設も10億円もあればいいのが建つ。いま、待機者が50万人いるというが、50万人÷100人=5000軒とすれば、
5000×10=5兆円だ。アメリカに80兆円だ、台湾に20兆円だ、ウクライナに10兆円だ、など気前よく払っているが、とんでもない話だ。

農家補償も簡単に解決できる。

日本人を優先して、しかも賃金も大幅アップをしていかないと、少子化は止まらない。

若い世代の平均賃金を調査し、少なくとも年収500万円以上か、子育て、教育など、いくら収入がなければ結婚はできないのか、良く調べて、十分な所得が得られる政策に大転換していかなければ、日本は、外敵の侵入を待たずに自壊していく。

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