イスラム国へは欧米のみならずロシアなど各国から何百人単位で潜入し、総数は12000人を超える戦力になっているといわれる。
『自ら志願も!?欧米の少女達がイスラム国に続々と参加している目的とは?』
これは、どういうことか?
端的に話せば、イスラム国は世界の矛盾の反映、ということだ。
いまや、全世界は、政治の世界を含めて、すべて、『カネ』が支配している。儲かることであれば何でもする。そして、高級官僚や大会社の経営層、あるいは、王族など一部の支配層に『カネ』が集中するシステムが虚偽と偽善をベースとしてできあがってしまっている。
典型的な例がアメリカだ。
1%の富裕層に富の大半が集中しているといわれる。
一般庶民は、古臭い言い方で恐縮だが、蚊帳の外で文字通り『搾取』されどおしなのだ。
『夢』も『希望』も持てない『格差社会』の出現だ。毎日のラジオが報道する後を絶たない鉄道人身事故がそれを物語る。
これは、欧米も含めて全世界共通だ。
この現象を、経済学者は、『新自由主義・グローバリズムの横暴』と言う。
政治経済学者のスーザン・ジョージ氏のインタビューがあるので、ご紹介しよう。
『なぜ1%にも満たない富裕層が世界を支配するのか
グローバリゼーションによる格差拡大を止めるには
――トランスナショナル研究所フェロー
スーザン・ジョージ氏インタビュー』グローバリゼーションは経済的な恩恵をもたらす一方で、国家間、社会階層間などさまざまなレベルで格差の拡大という弊害を生んでいるともいわれる。我々は今後、もはやその流れを押しとどめることは不可能とさえいわれるグローバリゼーションと、どう向き合っていけばいいのか。反グローバリゼーションの論客として知られ、昨年末に著書『これは誰の危機か、未来は誰のものか――なぜ1%にも満たない富裕層が世界を支配するのか』が日本でも発売されたスーザン・ジョージ氏に聞いた。(聞き手/ジャーナリスト 大野和基)
■ グローバリゼーションはプラスかマイナスか
まず最初に、私は「グローバリゼーション」という言葉を単独では使いません。修飾語がないと、あまり意味がないと思うからです。この30年間、我々が経験してきたのは、「新自由主義のグローバリゼーション」であって、それは格差を拡大することしかしなかったと思います。
さらに、グローバリゼーションというのは誤解を招く言葉です。みんなが一つの幸せな家族であり、お互いの手を取り合って、約束の地に向かって行進しているような印象を与えるからです。それはまったく真実ではありません。
いままで何度も指摘してきましたが、グローバリゼーションというのはベストな人、ベストな国、さらにそういう国のベストな部分だけを見て言っており、残りの莫大な数の人や地域を除外しています。ですから全体的に見れば、グローバリゼーションは失敗しています。
例えば、中国は貧困レベルを減少させるのに大きな成功を収めましたが、インドはそれほどではありません。彼らは確かに自由貿易から恩恵を得ましたが、世界中の貧困という観点からは、グローバリゼーションから得たものはほとんどないのです。
――まったく同感です。
ある特定の社会の、特定の部分は間違いなく恩恵を得ました。しかし、能力がないと恩恵を受けることはできません。また、「移動可能」という性質がないと恩恵を受けることはできません。あまりスキルがなかったり、場所が固定されていたりする場合は、グローバリゼーションから恩恵を得ることはできないのです。
■ 恩恵を受けたのは、ごく一部の「ダボス階級」のみ
――つまり、いま我々が直面している危機を起こしたのは、多国籍企業の、新自由主義のエリートということでしょうか。
そうです。私はそれを「ダボス階級」と呼んでいますが、グローバリゼーションはそういう非常に少数の階級の人にだけ完全な自由を与え、彼らはできるだけ速く大儲けをするべく規制を緩和し、国営のものを民営化するためにその自由を利用してきたのです。
しかもこのシステムは長期的なフォーカスを持っていません。長持ちする、包括的なシステムとしては考えられていないのです。市場は万能であり、自己規制が働くというのはまったくのナンセンス。民営化すると何でもうまくいくというのは、完全に間違っています。
私が言う真のグローバリゼーションは、一種の普遍的な、ユニバーサルな福祉国家に向かってさらに進むことであり、いま起きている「新自由主義のグローバリゼーション」ではありません。グローバリゼーションの成功とは、ユニバーサルな福祉国家の実現のことです。
――それは日本にも当てはまるでしょうか。福島原発事故で露わになったように、会社が儲けたときは利益は会社が獲得し、このレベルの大事故が起きると国民がその損失の負担を負う。こういうシステムは筋が通らないと思いますが、どうでしょうか。
あなたの言うとおりです。だから我々はいま、モラルの危機にあるのです。罪を犯した人が罰せられず、この危機を引き起こしたことにまったく関係のない、罪のない人が一番苦しんでいます。罪のない人が罰せられ、罪を犯した人が報われているのです。
リーマンショックの)2008年以前と比べると、「ダボス階級」ははるかに権力を持ち、裕福になっています。ここまで彼らが成功することは、私も予想しなかったと言わざるを得ません。まさか可能だとは思わなかったのです。これだけ周囲にたくさんの破綻が存在するのを知りながら、そうした少数の人たちが平気でいるのを見て、一体誰にアドバイスを求めたらいいのでしょうか。
メディアも深くかかわっています。誰をテレビに出して、<我々は何をすべきか>と言えるでしょうか。彼らこそが、この危機を起こした張本人です。信用できません。
グラス・スティーガル法(商業銀行業務と投資銀行業務の分離)の再制定もできなかったし、ドッド・フランク法(広範な金融取引の規制法)はまだ適用もされていません。そもそも非常に弱い法律です。驚くべきことではないと思いますが。
■ 現在のシステムは「持続可能」か?
――いま我々がいるシステムは持続可能なものだと思いますか。
ほとんどの人にとっては「ノー」です。ウォール街占拠運動(OWS)はシステムを正そうとしたと思います。彼らは1%の富裕層と、それ以外の99%の層をはっきり区別しました。実際の超富裕層は1%よりもっと小さいのですが、今のシステムは、そのほんのわずかな少数派のためだけに機能しています。
――つまり長期的な観点に立てば、持続可能ではないということでしょうか。
このままいくとbrick wall(れんがの壁)にぶつかり、万策尽きてしまうでしょう。国家債務危機はまだ終わっていません。また回復に向かっているとも思えません。ヨーロッパは破綻する可能性があります。私はいまパリに住んでいますから、ヨーロッパが気がかりです。この危機についてドイツや他の国が、何も真剣にやろうとしないのが心配です。
ほとんどの人は未来が自分たちに開かれていない、と思っています。60年代や70年代には若者もすぐに仕事が見つかり、楽観主義と希望がありましたが、今は当時と比べると、本当に対称的な時代です。かつては、子どもたちの時代は自分たちの時代よりもいい時代になるだろうと思っていましたが、今やアメリカでそう考える人はほとんどいません。
――OWS運動は2、3年前に起きてもおかしくなかったと思いますが。
とりあえず起こったことで、とても嬉しく思っています。どうやってアメリカ人はこの危機に反応するのだろうと、ずっと思っていました。私は、アメリカでは起きないと思っていましたから、遅くとも、起きないよりは起きた方がいいです。
■ 日本も貧富の差が拡大、このプロセスから逃れる術は
――日本はかつて比較的平等な社会でした。ところが貧富の差がますます拡大していく社会に変化しつつあります。世界中で起きている現象が日本でも見られます。日本は、昔の日本社会のいい面を忘れたのでしょうか。あるいは新自由主義のグローバリゼーションのプロセスから逃れることはできないのでしょうか。
答えるのが非常に難しい問題です。今日は私のJapan Dayで、日本人の生徒と1時間半話しました。日本は、昔は不平等率が約5対1でしたので、かなり平等な国でした。私が近著で引用したリチャード・ウィルキンソンとケイト・ピケットの不平等についてのチャートを見ればわかりますが、日本はまだグラフではかなりよい位置にあります。裕福な国の中では、もっとも不平等ではない国の一つです。
日本の債務は確かGDPの220%という莫大なものです。でもすべてのことが今までと同じように動いています。あれだけ高齢者が多いのに、うまくやっていると思います。もちろん福島原発事故や震災は正視に耐えないものでした。東京電力の否定的な態度を見ているだけも非常に苦痛でした。
――日本は相対貧困率が欧米に比べて非常に高いです。自殺も毎年3万人を超えています。そういう意味ではあまりいい社会ではないと思います。ところでOWS運動に象徴される、富の再分配の話をしたいと思いますが、危機を軽減する具体策はあるでしょうか。
■ 格差拡大を食い止める富の再配分の実現方法は
まず最初にすべきことは、金融システムをコントロールすることです。公的資金を注入された銀行は全部、あるいは部分的に国営化すべきです。そして中小企業に融資すべきです。銀行は今、連銀や中央銀行から莫大なお金をもらっています。でも中小企業には貸しません。金庫にお金を置いているだけです。
2、3週間前、フランスで同じ会議に出ていた中小企業の社長と話しました。彼はスポーツ用品会社の社長ですが、「太陽がさんさんと照っているとき、自分の銀行は傘になってくれましたが、雨が降ると帽子も傘も何も貸してくれません。銀行は私を捨てました」と言っていました。銀行は何も助けてくれません。銀行こそ、何をすべきか教わるべきです。
2つ目は多くの法律を通過させて、1920年代の昔に戻すことです。ルーズベルト時代の法律を多く通過させ、デリバティブは違法とします。そしてより平等な社会を目指すには、もっと仕事を創り出さないといけません。
今、雇用を増やす唯一の道は、経済を全面的に「グリーン経済」にすることです。それは、医療や教育はじめ、生活環境を価値の中心に置き、変革につながるすべてのものに投資することを意味します。人間は自然の法則を尊重せずには存在できませんから、環境をもっとも重要な価値にするのです。
さまざまな報告書にも書かれていますが、そうすることで、スキルを要しないものから博士号が必要なものまで、どのレベルの仕事も創出されます。私はこの変革を「グリーン・ニューディール」と呼びますが、社会問題も環境問題も含めて、今抱えている多くの問題を解決してくれるでしょう。
今、失業中の人に対しては、経済的な援助も必要です。それには多くの方法がありますが、日本はかなりのことをしてきました。たとえば優れた公立学校の教育システムや医療制度です。フランスやアメリカや他の国では、深刻なまでに予算が削減されています。教育の質も下がっています。医療の質も下がっています。人はいままでよりも長時間労働を強いられています。銀行には、これを助けることができます。
最新のレポートによると、連銀は銀行に16兆ドル提供したといいます。アメリカの銀行だけではありません。日本、ドイツ、フランス、イギリスの銀行も含まれます。もちろん、銀行にすべてのことをする資金がないことはわかっていますが、あまりにも一般市民をないがしろにしています。
お金が足りないわけではありません。世界にはお金があふれています。ただし今お金は、一般市民の福祉に貢献しないで、この不公平な金融システムを支え続けるのに使われ続けている、というだけです。人に投資せず、公共サービスにも投資せず、何もかも私有化すると、雇用は悪化します。自動的にそうなるのです。
さらなる平等を実現するには、みんなを働かせる、しかも、まともな給料で働かせることです。緊縮政策ではうまくいきません。中にはみんなが身分不相応の生活をしているからこうなったと言う人がいますが、それはナンセンスです。あくまでも政治と経済が悪いのです。
――将来をどのように見ますか? 楽観的ですか、悲観的ですか?
どんな正しいことでも、言うだけでは起こりません。みんなが一緒になって、事を起こさないと起きないのです。連携こそが前進できる道です。いいアイデア、いい提案があり、なすべきことがわかっていても、お互いに連携しないと前進しません。ですから私は楽観主義でもなく、悲観主義でもありません。でも希望があると言えることは確かです。
米国のオバマ大統領は、『空爆は、米国単独行動ではない。サウジアラビア、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、カタールの中東5カ国も軍事作戦に参加した。』と弁明するが、これら5カ国は、すべて王族国家だ。富が支配層に集中しているアメリカと同じ構造だ。
イスラム国は、頭部切断などの残虐行為で恐れられる組織だが、現実的市民生活の運営にも抜群の能力を発揮しているようだ。
ロイター通信の以下の報告にその一端が紹介されている。
『焦点:次世代見据えるイスラム国、シリア北東部で「国家モデル」構築』
[ベイルート 4日 ロイター] – シリア北東部の砂の平原にある町々では、イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」が、市民生活に深く入り込んでいる。頭部切断などの残虐行為で恐れられる同組織だが、こうした場所では電気や水の供給のほか、銀行や学校、裁判所、礼拝所、パン屋に至るまでが彼らの手によって動いている。
過去数カ月、シリアとイラクで支配地域を急速に広げてきたイスラム国。メディアでは、戦地での情け容赦ない行動や、厳格なイスラム法を強制する姿勢などが大きく扱われている。一方、現地住民らは、勢力拡大の大きな要因は、効率的で時として極めて現実的でもある統治能力にこそあると語る。
そうしたイスラム国のやり方は、シリア北東部の都市ラッカで顕著に見ることができる。イスラム国は、いずれ「カリフ国家(預言者ムハンマドの後継者が指導する国家)」が中国から欧州にまで広がることを望んでいるが、ラッカでは、カリフ国家での生活がどんなものか、その実例を示そうとしているようだ。現在はトルコに住むラッカ出身の活動家の1人は、ロイターの取材に「正直に言うなら、彼らは大規模な組織的仕事をやっている。すごいことだ」と語った。
ロイターの記者は、安全上の理由から現地に入ることはできないため、遠隔地から複数のインタビューを行ったが、イスラム国に批判的な活動家でさえ、彼らがいかにして1年足らずで近代国家のような構造を作り上げて来たかを口にした。
イスラム国の勢力拡大には、中東地域のみならず西側の大国も警戒感を募らせている。オバマ米大統領は先月、イラクでの空爆を実施するに当たり、イスラム国は中東から取り除かれなければならない「がん」だと表現した。
しかし、ラッカなどの場所では、イスラム国は日常生活に完全に入り込んでいるため、イラク軍やシリア軍やクルド人民兵組織は言うに及ばず、米空爆によっても掃討することは事実上不可能だ。
<公共機関の設置>
ラッカは、昨年にアサド政権の打倒を目指す反政府勢力が初めて占拠した都市。
イスラム急進派から穏健派までさまざまな反政府勢力が割拠していたが、1年も経たないうちに、敵対する武装組織を容赦なく排除したイスラム国が支配するに至った。
イスラム国に批判的な活動家は殺されたり行方不明になったりするか、もしくはトルコに脱出した。飲酒は禁じられ、店舗も午後には閉められ、夕方には人通りがなくなった。外の世界との情報のやり取りは、近隣地域との間でさえ、イスラム国のメディアセンターを通じてのみに厳しく制限された。
しかし、最初にそうした締め付けを行った後、組織は公共サービスや公共機関の設置を開始し、同地を「イスラム国家」の建設に向けた拠点とする姿勢を明確にした。
イスラム国には反対の立場だというラッカの住民の1人はロイターに対し「政党に一切関わりを持たない人たちはイスラム国の存在に順応した。なぜなら、彼らは疲弊していたし、率直に言えば、ここで行政の仕事をしているからだ」と語った。組織は公共サービスに関係する機関をすべて回復・再建し、そのなかには、消費者保護を管轄する事務所も含まれるという。
<残虐性と現実主義>
過去1カ月だけでも、イスラム国は、米国人ジャーナリスト2人の頭部を切断して殺害する様子や、クルド人やレバノン人の兵士を処刑する様子を収めた動画を相次いで公開した。
しかし、組織は無差別に暴力を行使しているだけではない。例えば、自分たちの利益に合致すれば、アサド政権に忠誠的な実業家と取引することもある。
ある戦闘員によると、現在ラッカでパン屋向け小麦粉の製粉と流通を担っているのは元アサド派であり、電気と水を供給している現地ダムでも、以前からの従業員たちが今も職務を遂行している。
元アサド派を積極的に使う姿勢は、イスラム国の現実主義を映し出している。住民や活動家は、そうした現実主義こそ、制圧した地域の支配継続に不可欠な要素だと指摘する。
また、イスラム国は、北アフリカや欧州から来た専門家の手も借りている。一例を挙げれば、同組織を率いるバグダディ指導者は、ラッカの通信網の運営をチュニジア出身の専門家に任せている。
イスラム国は自らを単なる武装組織ではなく、1つの政府だと主張しているが、それを反映するようにバグダディ指導者は、軍事行動と行政活動を分けている。
戦闘員や組織のメンバーには、財務省と銀行を合わせたような部門から給与が支払われている。また戦闘員には、非スンニ派や政府関係者から押収した住居のほか、1カ月当たり約400─600ドルの手当ても与えられる。シリア北東部で日常生活を送るには十分な額だ。
貧困家庭への支援もあり、母子家庭には1人につき100ドルが支払われることもあるという。
物価も低く抑えられている。価格操作を行う業者は罰せられ、警告に従わない場合は店舗を閉鎖させられる。
一方で、組織は裕福な人には「イスラム税」を課している。また専門家らは、イスラム国は、誘拐で集めた身代金のほか、シリアやイラクで支配する油田からの石油をトルコなどの業者に売ることで数千万ドルの資金を得ていると試算している。
<バグダディ指導者>
イスラム国の組織運営の中心にいるのは、紛れもなくバグダディ指導者だ。住民や戦闘員らは、バグダディ指導者がラッカの統治に深く関わっており、あらゆる問題に最終決定を下すと口をそろえる。商品の値段をいくらに設定するかということまで、バグダディ指導者の支持を仰ぐという。
一方、同指導者は、頭部切断などの処刑や、組織が有罪と判断した犯罪者に対する処罰の判断も下す。戦場では、気性が荒い経験豊富な司令官として知られている。
ある戦闘員によると、同指導者は、7月にイスラム国がシリア軍の主要基地を制圧した大規模な戦闘などを直接率いてきたという。
同戦闘員は「彼は同胞を置いて行かない。基地制圧では軽傷を負ったが、今は元気だ」とし、「彼は1カ所にはとどまらない。ラッカやデリゾール、モスルを移動し、戦闘を率いている」と語った。
<次世代の聖戦>
イスラム国の躍進の鍵は現実主義にあるにせよ、イデオロギーも統治には重要な役割を果たしている。
バグダディ指導者は、自らを預言者ムハンマドの後継者だとし、「カリフ国家」を樹立すると宣言した。これには、聖戦主義者や専門家を海外から呼び寄せる狙いもあった。
支持者らによれば、この宣言には多くの人が反応し、世界中の裕福なイスラム教徒からはラッカに支援金が寄せられた。
複数の情報筋の話では、ラッカにはミサイル開発を主目的とした兵器工場が3カ所あるが、中国人イスラム教徒を含む複数の外国人科学者が、護衛付きの秘密の場所で研究などに従事しているという。
またイスラム国は、次世代を担う子供や女性の受け入れにも積極的だ。新しく組織に加わった戦闘員向けには、礼拝所でイスラム教に関する勉強会が行われている。バグダディ指導者が「カリフ国家」樹立を宣言して以降、その数は大幅に増えたという。
戦闘員の1人は「3日おきに少なくとも1000人は迎えている。宿泊施設は聖戦戦士であふれており、彼らを受け入れる場所が足りなくなっている」と語った。 (原文執筆:Mariam Karouny 翻訳:宮井伸明 編集:伊藤典子)
これを読むと、イスラム国は、先に示したスーザン・ジョージ氏の示した新たな世界を指向しているようにも見える。この辺に、世界の若者を引き付ける何かがあるのかもしれない。
この報告の中にも
『しかし、ラッカなどの場所では、イスラム国は日常生活に完全に入り込んでいるため、イラク軍やシリア軍やクルド人民兵組織は言うに及ばず、米空爆によっても掃討することは事実上不可能だ。』
とあるが、やはり、オバマ大統領の『空爆』決断は誤りであった、と言える。これを強行すれば、いずれは、全世界の貧民層を敵にまわすことになるかも知れない。
なぜなら、イスラム国の誕生は、スーザン氏の言われる、
『どんな正しいことでも、言うだけでは起こりません。みんなが一緒になって、事を起こさないと起きないのです。連携こそが前進できる道です。』
のひとつかも知れないからです。