軽井沢スキーバス転落事故の盲点

先日起きたバス転落事故について、マスコミに登場する皆さんは、いろいろ評論されていますが、
どうも、基本的な問題点を見落としているか、気づいていない感じがします。

マスコミの皆さんは、事故の原因は、スピードの出しすぎ、で、事故現場は、急カーブに見えて
ハンドル操作を誤った、と概ね発言しております。

確かに、その通りだと思います。
長い下り坂でのスピードの出しすぎが事故の原因だと思います。
では、そのスピードを抑えるには、どうすればよかったのか、その対策、という点については、
残念ながら誰一人として指摘する人はおりませんでした。

そして、すぐに、会社側の管理体制に問題があったんだ、とか、運転手不足、あるいは、大型経験不足、
だとか、という一般論に飛んでしまうのです。

つまり、最も肝心な点に対する解決策を言わないで、通り一遍のことを言ってその場をとりつくろって
いるだけです。これでは、事故は明日また起こることになります。

あの事故の起きた国道18号の臼井バイパスを一度でも走った経験のある方は、お気づきだろうと思いますが、
キーワードは、『エンジンブレーキ』です。

長い下り坂の区間では、おそらく1km間隔ぐらいに、

『エンジンブレーキの併用を!』

と道路標識は、運転者に呼びかけています。

この『エンジンブレーキの併用を!』という標識は、何も18号線に限ったものではありません。
長野県内に限らず、長い下り坂では、いたるところにあります。
この標識は、長距離ドライバーにとっては、常識ですが、実際に長い下り坂を走っていると、
この『エンジンブレーキ』を使わずに、フットブレーキを頻繁に使っている方を見かけます。
ナンバーを見ると都会ナンバーの方に多いようです。

マスコミの評論家の皆さんが言うように、会社の管理体制の見直しも重要ではありますが、
さしあたっての、重要な解決策は、この

『長い下り坂では、エンジンブレーキの併用!』

であると思います。

私は、もちろん、長い下り坂では、エンジンブレーキとフットブレーキを併用しておりますが、
なんといっても、エンジンブレーキの利点は、下り坂であっても、スピードが出にくい、という
ことです。スピードが出ると、エンジン音が大きくなり、ある程度以上は出にくいのです。
そして、危ないと思ったら、フットブレーキをかければいいのです。

私の感じでは、この事故を起こした運転手さんは、エンジンブレーキを使っていなかったんだと
思います。もし、使っていたとしたら、あの程度のカーブであれば、あのような片輪走行になる
までのスピードは出なかったと思います。
ハンドルさばきについては、あそこまでの何十か所とあるカーブを曲がり切って来たので、
そこそこの力は、あったんだと思います。やはり、ポイントは《エンジンブレーキ》だと
思います。

エンジンブレーキとは、皆さんご承知のことと思いますが、別な言葉でいえば、シフトダウンの
ことです。オートマでいえば、D(ドライブ)からL(ロー)あるいは2(セコンド:これはまず
必要ない)にシフトダウンすることです。

エンジンブレーキをかけると、燃費が悪くなる、というせこいことを言う方もおられますが、
逆にフットブレーキオンリーで行くと、ブレーキ焼けを起こす問題を生じます。
また、エンジンブレーキは、バッテリーには充電にもなる、と考えれば、別に損なことでも
ないと思いますが、それより何よりも安全確保がはかられる、というメリットを評価するべき
だと思います。

マスコミに出る評論家の皆さんは、普段あまり長い下り坂を走られた経験がないと思いますので
このように重要なポイントが盲点となるのもやむを得ないと思いますが、明日からすぐできる
きわめて重要な対策なので、あえて指摘させていただきました。

皆様も、運転される場合には、ご存知の方は良いとして、あまり使われていなかった方は
是非、エンジンブレーキを併用されて、後ろから、せっつかれても、平然と安全運転に
心がけてください。皆さんのご無事を祈念いたします。

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