台風19号の犠牲者は、おそらく100人にも達すると思います。
このグラフを見てください。
国土交通省のホームページにある治水事業費の表をグラフにしたものです。
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平成10年(1998年)の2兆5000億円をピークに、その後減少し、いまや、1兆円と半分以下となっています。
つまり、1兆5000億円もの予算が削られ、プライマリーバランス黒字化に寄与するとともに、その犠牲が国民に押し付けられた、ということになったのです。
しかも、この金額は、単年度のもので、1998年予算額との差額を2019年まで累積すれば、24兆7000億円にものぼります。
最低限、1998年度と同額のペースが必要だったとすると、実績額のと差額の累積は24兆7000億円の整備が必要だったということになりますが、これらが、すべて実施されなかったため、河川堤防設備は、はっきり言って、野放し、ノーメンテの状態にあったわけで、堤防決壊は、起こるべくして起きたのであり、その分の犠牲が国民に転嫁されたのです。
さらに、1975年度から1998年度までの予算の伸びを見てください。平均すると年7%の伸びになります。
この伸びは、堤防設備は老朽化するとともに、川底の土砂を取り除く浚渫(しゅんせつ、dredging 港湾・河川・運河などの底面を浚(さら)って土砂などを取り去る土木工事のこと)作業は、川底の土砂は年々溜まる一方なので、費用は、かさんでいく傾向にあります。土砂を浚渫しないと、堤防の高さを年々かさ上げしていかなければならず、工事費の高騰を招くとともに景観も悪くなります。浚渫作業は大切な作業ですが、これらのことを考慮すると、1998年度までの伸び率は、それ以降も、現在まで最低限必要だったのですが、1998年度から2019年度までの予算の実績は大きく減少傾向となっています。この間の実績の伸び率は平均すると、年率-3.5%とマイナスとなっています。
まさに緊縮予算の実行です。
ここで、仮に、本来の姿として、1998年度以降も、それまでの年平均伸び率7%で予算を実行していたとしたら、2019年度の予算額は、9兆5000億円となります。1998年度から2019年度までで、累計で、108兆円となり、実際の緊縮予算での実施額24兆円を差し引くと、84兆円もの設備整備が、カットされてきたという計算になります。
こうしてみると、財務省は、『プライマリーバランスを黒字化しないと、国の財政が破綻してしまう』、と言いますが、その前に、日本の国土が破綻してきています。
みなさんいかがでしょうか。