福島県は、今回実施した子どもたちの甲状腺検査の中間報告を出した。
これがまた、実に犯罪的だ。完全に福島の子どもたちを見殺しだ。
この報告の要点ならびに問題点を原文に赤線等入れたもので、以下ご説明したい。
1 甲状腺検査の結果概要
ここでのポイントは、
① A2判定が、H23年の35%からH24年には、43%へ増加。
約半数に嚢胞発生を認めるも、2年後まで検査せず、経過観察として放置。
見殺し同然の扱いで大問題。18,119人だ。
ベラルーシでは、すべての子どもに半年間隔で検査実施。
② B判定も0.5%から0.6%へ増加。このB判定186人のみ二次検査
2 H24年度検査:嚢胞について
① 表の○内をご覧いただきたい。
判定区分はA2が43.1%であるが、割合の欄は、嚢胞(~3mm)の
10,424人を『なし』にカウントし、81.7%としている。
したがって、A2判定は、43.1%から18.3%に激減している。
その理由は、『3mm以下の嚢胞は、通常の診療行為では
嚢胞がないものと同様に扱う』ためとしている。
これは、明らかなデータ改竄だ。
② 中日新聞『福島の子 3割以上“良性”のう胞 甲状腺検査で不安は
消えず』によると
【チェルノブイリも他地域も比較なく】
北海道深川市立病院の松崎道幸医師は
「チェルノブイリ事故後に18歳未満の子を対象とした検査結果で、直径5ミリ超の
しこりとのう胞がそれぞれ約0.5%現れたとの文献がある」
とした上で、チェルノブイリ事故被害との直接比較ができない点を問題視する。
「診断基準が違うから断定できないが、しこりについてはチェルノブイリと同程度と
言える。しかし、のう胞をより大きな20ミリ以下と20ミリ超で分けており、直接の比較が
できない。ただ、今後影響が出る可能性もあり得る。直径の大きさを示した詳しい分布も
併せて公表すべきだ」。
さらに次回の検査について「少なくとも半年に1回は経過を検査する必要がある」と言う。
北海道がんセンターの西尾正道院長は
「甲状腺は成人してから異常が出る例が多い。これまで子どもの調査データは少ないが、
のう胞ができたとしてもすぐに異常とは限らない」
と話す。
同時に「福島の子どもが異常かどうかは、原発事故の影響がない地域の子どもを
調査し、比較すればはっきりする。やる気があればできるはずだ」。
西尾氏も継続的な検査を求める。
「チェルノブイリでは5年以上の潜伏期間を経てがん発症が増えだした。
他の病院の検査を望む人も多いはず。
県立医大が、問い合わせがあっても2年後まで検査は必要ないと説明するよう
求めた文書を出したのは本末転倒だ」
3 H24年度甲状腺検査(二次検査)の実施状況
① 前1項の検査の結果、B判定となった
『5.1mm以上の結節や20.1mm以上の嚢胞を認めたもの』
がニ次検査対象者(186名)だが、その二次検査結果がこれだ。
② この表の中の赤枠部分をご覧ください。
186名中、38名が検査終了したが、その結果は、
『すべて異常なし』で片付けられてしまっている。
その内訳は
2年後検診 : 10名
通常診療へ移行: 28名
合計 : 38名
『異常あり』だったものを、ニ次検査で、『異常なし』としたのだ。
何のためのニ次検査なのか。
③ これはゴマカシ検査であり、見殺しとしか言いようがない犯罪だ。
4 県外検査実施の流れ
これも問題だ。
① 表の中の『県外検査実施の流れ』の⑥、⑦、⑧だ。
福島医大を通すこと自体が問題だ。
これでは、セカンドオピニオンにならない。
② 福島医大のバイアスがかかり、受診者側は公正な判断が
出来ない。
③ あくまで、隠蔽姿勢が見え見えだ。
5 H24年度甲状腺検査の実施スケジュール
① すでに、福島市など71,680人が終了したが、これから白河市や郡山市など
約87,000人の検査が残っている。
② これから受診される方も、この犯罪的な検査方法を糾弾しなければ、
改善されないだろう。
③ おざなりの、『検査しましたが、異常はみつかりませんでした』という
無責任行政の犠牲に2~3年後に会わないためにも、声を大にして
言わなければ、ますます悪化するばかりだ。