世界80カ国で『反格差』デモ

本日(2011/10/16)の朝日新聞によると、
10月15日に、世界80カ国で反格差デモが起きた。

インターネットの呼びかけに呼応したが、起こるべくして起きた。
自然発生的な部分、目標設定のあいまいさはあるものの、
共通するのは、貧富格差に対する憤(イキドオ)りだ。

1 何をするか・・・その前に、いままでどうなってきたのか

で、問題は、これから何をするか、だ。

答えは、いたって簡単だが、全員の認識レベルを合わせるのは、
むずかしいかも知れない。
しかし、具体的方法を知れば、貧困層と中間層は即一致団結する。

『反格差デモ』が世界同時多発したことが何よりの証拠だが、
その原因は、全世界共通だ。

世界各国とも、税金制度を、この30~40年間に
消費税(欧米では付加価値税)を道具
に使って、

   富裕層に有利に

ということは、

   中間層以下には、不利に

なるように数回にわたって、巧妙に、税金の制度を改悪し続けてきた、
という事実を、まず自ら確認して認識することだ。

もっと、ハッキリいえば、富裕層が高い累進課税率で払っていた高額の税金を
一般大衆に払わせるために消費税を導入し、高かった累進税率を半分に
下げてしまった。

それまで富裕層が払っていた税金を、貧困層を含む圧倒的多数の中間層以下の
国民に負担を押し付けて現在にいたっている
、ということだ。

これが、貧富格差の拡大をもたらした。

なお、付言すると、当初のもくろみとしては、富裕層の払っていた税金を消費税で
賄おうとしていたわけだが、実態は、富裕層の払っていた税金が、あまりにも巨額
だったため、消費税3%では、穴埋めできずに、じきに5%に引き上げたが、
それでも足りない、ということで、恒常的な赤字国債体質に転落し、現在に至っている
というわけだ。
これも全世界共通の現象だ。

2 その結果、いま、どうなっているのか

この30年間で、富裕層には、莫大な富が蓄積され、それが、よく言われる
家計の総資産1500兆円、そのうち現金・預金残高816兆円
資産-負債の純資産は1110兆円。
このように莫大な富が一部富裕層に偏在することになった
(日銀・資金循環統計・2010年末)。

家計純資産の、この30年間の伸び率は、4.65倍だが、
その間の物価指数の伸びが1.31倍、同じくGDPが1.9倍だったのと比べると、
一部富裕層への富の蓄積の伸びが、きわめて異常な伸びだったことがわかる
消費者物価指数やGDPから見た家計純資産の異常な伸び
したがって、この極端に偏在した富を社会に還元しない限り、経済は正常に機能しないし、
貧富の格差は解消されない。

3 では、これから何をするべきか

したがって、解決策は、税金制度の改悪を元に戻すことしかない。
これも原発問題と同じで全世界共通の課題だ。

世界各国において、税金制度の現代史(30~40年間)をひもとけば、
必ず富裕層に高率の税金を課していた時代がある
ので、これを見つけ出してきて、
その税率を即明日にでも富裕層(年間所得1000万円超)に限定して復活させる
だけでいい(イギリスのサッチャー政権がその魁(さきがけ)だが、日本の場合は
所得税率の推移 から、1974年~(昭和50年代)の累進税率を復活適用)。

こうすれば、消費税を引き上げなくてすむ。これで、増えた税金収入を社会保障や
医療の充実、各種事業の興隆に使うことによって雇用回復から経済も活性化される。

さらに、家計純資産(1110兆円)のうち、莫大に築かれた富裕層の所有する分
(この約7割)に臨時に10%の特別臨時資産税を
かければ

1110 × 0.7 × 0.1 ≒ 78 兆円

の税金収入が得られる。これで、東日本震災の復興や、原発被害の補償など
十分
賄える。

これは、税制改悪のおかげで、いままで溜め込むことのできた巨額な富の一部を
吐き出させるだけなので、正々堂々と要求できるもの
だ。
富の再分配 や、これを実現する累進課税制度も参照されたい。

『100年に一度の経済危機』と言って、金融資本や、金持ちばかりを優遇している
今の政策は、全く逆だ。

『100年に一度の経済危機』を生んだのは、他ならぬ富裕層優遇の税金政策に
あったわけ
だから、これを即やめて、過去の実績ある税率を富裕層
(年間所得1000万円超)に限定して復活適用する
ことが今や不可欠。

『カネがない』とよくいうが、とんでもない。あるところには、すでに見てきた通り腐るほどある。
これを失われた20年を取り戻すために有効活用しようというわけだ。
文句が出るのは、わけのわかっていない一部の富裕層からだけだ。

また、もうひとつ大切なことは、これまた全世界共通だが、
次回の選挙では、以上のことがわかっている立候補者に投票すること。

被害側の中間層以下(年間所得1000万円以下)の資産は圧倒的小額だが、
全世帯に対する比率は、90%以上と圧倒的多数だ。これが団結すれば、
こわいものなしだ(厚労省:所得分布(H21調査) )。

朝日新聞(2011/10/16)

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