平成24年10月31日に原子力規制委員会から、原子力災害対策指針が出された。
これによると、原発周辺地域を次の3つに分類し、それぞれ、放射能汚染濃度に
応じて避難させる、としている。
① PAZ(Precautionary Action Zone)
即時避難実施区域で
原発より、半径5km以内
② UPZ(Urgent Protective action Zone)
放射能汚染度合いに対応した避難実施区域で
原発より半径30km以内
③ PPA(Plume Protection Planning Area)
プルーム(原発から放出される放射性浮遊物質)による
放射能汚染度合いに対応した避難実施区域で、
極めて広範囲に及ぶが、特に決まりはないが、
原子力規制委員会の出している原子力発電所周辺地域の人口データが
原発より半径50kmまでのデータを出しているので
とりあえず、影響範囲として50kmと見るのが妥当と判断した。
以上の3つのエリアについて、それぞれの原発周辺地域の人口分布が
どうなっているのか、調べて見た。つまり、影響の大きな原発は
どこなのか、を調べた。
原子力規制委員会のHPより、原子力発電所周辺地域の人口データ
から、②のUPZエリア内(30km圏)で人口の多い順に原発を抽出すると、
表1 UPZ内人口ワースト6
原発名
|
UPZ内の人口(人)
|
---|---|
東海第二
|
931,537
|
浜岡
|
744,219
|
島根
|
440,802
|
柏崎・刈羽
|
435,433
|
敦賀
|
275,075
|
玄海
|
255,529
|
となる。
東海第二では、即時避難区域PAZの5km圏で5.2万人だ。5万人の避難先を
確保すること自体不可能だろう。
30km圏のUPZでは、水戸市まるごと含めて93万人だ。
とてつもない人口だ。
これが、速やかに避難できるわけがない。
伊方原発で、先日避難訓練が実施されたが、伊方原発30km圏内の
人口は135,019名だが、多すぎて、避難先どころか、避難のための
移送手段であるバスも圧倒的不足だということが、あらためて
はっきりし、今後の大きな課題となったと言う。
この6原発について、①PAZ、②UPZ、③PPA それぞれに
含まれる市町村名と人口分布をグラフにしたものを次に示す。
みなさんの住んでいるところが該当するのか、ご覧いただきたい。
原子力規制委員会は、今後のスケジュールの中で、来年3月18日までに、
本指針に基づいた地域防災計画を各自治体が作成する、としている。
しかし、福島第一の避難実態からも
① これだけの人口の物理的避難場所の確保は、不可能、
② これだけの人口移動をまかなう輸送手段の確保も不可能、
と断定できるだろう。
特に、このワースト6原発、すなわち、東海第二、浜岡、島根、柏崎・刈羽、
敦賀、玄海の周辺地域の方々は、避難は、まず絶望的だと見たほうがいい。
したがって、結論は、原発はとにかく、なくす以外にはないのだ、
ということだ。
参考までに、PAZとPPAについてもワースト6を示す。
表2 PAZ内人口ワースト6
原発名
|
PAZ内の人口(人)
|
---|---|
東海第二
|
51,641
|
浜岡
|
25,731
|
柏崎・刈羽
|
16,519
|
福島第二
|
13,706
|
福島第一
|
12,448
|
島根
|
9,594
|
表3 PPA内人口ワースト6
原発名
|
PPA内の人口(人)
|
---|---|
浜岡
|
2,136,338
|
東海第二
|
1,487,883
|
玄海
|
1,395,309
|
柏崎・刈羽
|
1,130,493
|
川内
|
1,065,835
|
敦賀
|
869,079
|
以下、ワースト6原発周辺の人口分布