経産省策定のエネルギー・環境戦略を斬る

政府は、今週中にも原発を今後どうするのかを最大のテーマとするエネルギー・環境
戦略を策定する。直前の今月4日閣僚級会議が開かれたが、席上、経産省は
『原発ゼロとする場合の課題』を記した資料を配った。

これを見ると、問題だらけで、話にならないが、その主なものを、
以下、問題点と共にご説明する。

1 『原発ゼロの課題』について

配布資料の3ページ
の『使用済核燃料の扱い』は、原発ゼロ~25%の
すべての場合に対応しなければならない問題であるが、原発ゼロ以外は、
ゴミがより大量に発生するため、ゼロが最も望ましい案といえる。

2 『核燃料サイクル関連施設が集中立地する青森県』

配布資料の4ページ、
プルサーマル発電を前提としているが、これは、すでに破綻しているので、
  このサイクルは不可能。詳細は、Wikipedia プルサーマルを参照されたい。

各原発にある使用済核燃料貯蔵プールの管理可能な格納容量が2万トン、
  現時点での格納済み容量が1.4万トン。したがって、に書いたように、
  従来のペースで原発を稼動すれば、使用済核燃料が年間1000トンの
  ペースで発生するため、
      (20000 – 14000) / 1000 = 6 年間
  つまり、各原発のプールは6年で満杯となる。2030年まで持たない。

③ ④ 六ヶ所再処理工場は、貯蔵容量3000トンに対して、すでに格納済み
  貯蔵量が2900トンでほぼ満杯。

『地層処分施設』も、2012/9/11 に日本学術会議から、  

『回答 高レベル放射性廃棄物の処分について』 で、

  『核のゴミの地中廃棄は「白紙に」』との趣旨の以下の提言が
  出されたので、もはや、取りうる施策ではない。

6 原子力委員会への提言

原子力委員会委員長からの依頼である 「高レベル放射性廃棄物の処分の取組みにおける国民に対する説明や情報提供のあり方についての提言のとりまとめ」 について、本委員会は以下の6つを提言する。

(1) 高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策の抜本的見直し

わが国のこれまでの高レベル放射性廃棄物処分に関する政策は、2000年に制定された「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」 に基づき、 「原子力環境整備機構」 (NUMO)をその担当者として進められてきたが、 今日に至る経過を反省し、 また政府や原子力委員会自身が現在着手している原子力政策の抜本的な見直しに鑑みれば、 基本的な考え方と施策方針の見直しが不可欠である。 これまでの政策枠組みが、 各地で反対に遭い、 行き詰まっているのは、 説明の仕方の不十分さというレベルの要因に由来するのではなく、より根源的な次元の問題に由来していることをしっかりと認識する必要がある。 これらの問題に的確に対処するためには、 従来の政策枠組みをいったん白紙に戻す覚悟で見直さなければならない。

(2) 科学・技術的能力の限界の認識と科学的自律性の確保

地層処分を NUMO に委託して実行しようとしているわが国の政策枠組みが行き詰まりを示している第一の理由は、 超長期にわたる安全性と危険性の問題に対処するに当たり、現時点で入手可能な科学的知見には限界があることである。 東日本大震災の経験は、 現時点での科学的知見と技術的能力の限界を冷静に認識することを要請している。 これに反して、 特定の専門的見解から演繹的に導かれた単一の方針や政策のみを提示し、 これに対する理解を求めることは、 もはや国民に対する説得力を持つことができない。 安全性と危険性に関する自然科学的、工学的な再検討、 さらには、地質事象の空間的および時間的不確実性を考慮してもなお社会的合意を得られるような施設立地の候補地選定にあたっては、まず自律性のある科学者 集団 (認識共同体) による専門的な審議の場を確保する必要がある。 そのような審議の場が、 広範な国民からの信頼を獲得するためには、 個別的な利害関心の介入を防ぎ独立性を備えた検討がなされること、情報を公開し疑問や批判の提出に対して開かれていること、 絶えず最新の知見が反映されるような更新可能性を有すること、 といった諸条件が必要である。

なお、こうした専門的な審議に関与すべき科学者においては、上記の諸条件を備えた場を構築し、 広範な国民からの信頼を獲得するべく、 自ら率先して主体的に行動しなければならない。

(3) 暫定保管および総量管理を柱とした政策枠組みの再構築

これまでの政策枠組みが行き詰まりを示している第二の理由は、 原子力政策についての大局的方針について国民的合意を得る努力を十分に行わないままに、 最終処分地選定という個別的な問題が先行して扱われていることである。 広範な国民が納得するような原子力政策についての大局的方針を示すことが不可欠であり、 それには暫定保管総量管理の2つを柱に政策枠組みを再構築することが不可欠である。 これらの条件は、 多様なステークホルダーが討論と交渉のテーブルに就くための前提条件と考えられるのであり、 国民が高レベル放射性廃棄物への対処という課題を共有し、 取組んでいくために必要な条件である。

(4) 負担の公平性に対する説得力ある政策決定手続きの必要性

これまでの政策枠組みが行き詰まりを示している第三の理由は、従来の政策枠組みが想定している廃棄物処分方式では、 受益圏と受苦圏が分離するという不公平な状況をもたらすことにある。 この不公平な状況に由来する批判と不満に対して、 電源三法交付金など金銭的便益提供という政策手段により処理しようとするのは、適切でない。 金銭的手段による誘導を主要な手段にしない形での立地選定手続きの改善が必要であり、 負担の公平/不公平問題への説得力ある対処と、 科学的な知見の反映を優先させる検討とを可能にする政策決定手続きが必要である。

立地地域に対する受益の還元政策と しては、 社会的に見て重要な施設で安定した地層を必要とするようなものを併設することが望ましい。 例えば、 安定な地層が防災上有利であることを活かし、 政府・電力会社等の機能の一部を移転する、 重要データの保管機能を持った施設を建設する、 あるいは原子力 ・放射性廃棄物関係の大型研究拠点を設置する等である。 そのような施設が併設され、実際に多くの人びとがそこで業務に従事し、生活の基盤を置くことは、 高レベル放射性廃棄物の保管施設の安全性に対する社会的信頼を高める効果を持ちうる。

(5) 討論の場の設置による多段階合意形成の手続きの必要性

政策決定手続きの改善のためには、 広範な国民の間での問題認識の共有が必要であり、

多段階の合意形成の手続きを工夫する必要がある。暫定保管と総量管理についての国民レベルでの合意を得るためには、 様々なステークホルダーが参加する討論の場を多段階に設置していくこと、 公正な立場にある第三者が討論の過程をコーディネートすること、最新の科学的知見が共有認識を実現する基盤となるように討論過程を工夫すること、合意形成 の程度を段階的に高めていくこと、 が必要である。

この手続きにより、 従来の原子力発電に欠落していた大局的政策についての合意形成から個別的な課題である高レベル放射性廃棄物の処分地の選定についての合意形成へという適切な手続きを経ることが可能となる。

(6) 問題解決には長期的な粘り強い取り組みが必要であることへの認識

高レベル放射性廃棄物の処分問題は、千年・万年の時間軸で考えなければならず、 これに伴う大きな不確定性の存在を免れない問題である。 また、民主的な手続きの基本は、様々な選択肢に対して開かれた討論の場における十分な話し合いを通して、 丁寧に合意形成を目指すものである。 したがって、 この問題に対しては諸外国の例も参考にしながら中長期にわたって段階的な意思決定を重ねながら問題への対処を進めることが有力な対応であると考えられ、現 時点での単一の意思決定で最終的な解を出しうるものとは考えられない。 高レベル放射性廃棄物の処分問題は、 問題の性質からみて、 時間をかけた粘り強い取組みを覚悟することが必要であり、限られたステークホルダーの間での合意を軸に合意形成を進め、 これに当該地域への経済的な支援を組み合わせる といった手法は、 かえって問題解決過程を紛糾させ、 行き詰まりを生む結果になることを再確認しておく必要がある。

また、 高レベル放射性廃棄物の処分問題は、 その重要性と緊急性を多くの国民が認識する必要があり、 長期的な取組みとして、 学校教育の中で次世代を担う若者の間でも認識を高めていく努力が求められる。

『高速増殖炉』について

これもすでに破綻しているが、日本政府だけがしがみついている。
詳細は、高速増殖炉を参照されたい。

以上から、核燃料サイクルの破綻は、明らかだが、原発ゼロにしても、
この使用済核燃料の処分問題には、対処していかなければならない。
学術会議の提言の中にもあったが、高速増殖炉への開発投資を
『核種変換技術』へ、振り向け、最大限の支援を政府はすべきだ

考える。

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