韓国船転覆・沈没事故が示唆するもの

これは、単なる不注意による単純な事故ではない。
この原因を本格的に分析すれば、様々な基本的な問題点が
浮かび上がる。

その数ある基本問題に対して、適切な対策を朴大統領が
示さなければ、韓国国民は納得しないだろう。

単に、『心からの謝罪』をほんとにしたとしても、
何の意味もない。

そして、その諸問題の底流には、韓国だけではなく、
わが国も含めた全世界共通の現代特有な本質的問題が横たわる。

以下、これについて簡潔に述べてみたい。

1)事故現象からの分析

① 航海士が、急に右旋回運航したため、復元力以上の
  遠心力が発生し、船体が大きく左側に傾斜し、そのまま
  転覆・沈没した。
② バラスト水減量などによる積荷の過積載から
  重心位置が上昇し、大幅な復元力の低下をきたした。

2)直接的問題点

① 航海士の遠心力増加による転覆力増大メカニズムの理解不足。
  船舶安全運航に関する基礎的物理原理の無理解。低レベルスキル。
② 積荷積載担当者の①同様の低レベルスキル
③ 船舶運航会社経営者の問題点
  ア) ①と同じ低レべスキル
  イ) 金儲け第一主義の経営感覚
     (過積載指示・客室増築による重心位置上昇による復元力低下など)
④ 前①~③改善のための経営者を含めた社内研修欠如
⑤ 行政側の指導・チェック体制欠如
  ア) 航海士資格試験の形骸化・汚職化
  イ) 船舶運航会社に対する安全運航チェック体制欠如

3)本質的問題点

福知山のJR脱線転覆事故から、今年でちょうど9年目だ。
これも、運転士の遠心力による脱線転覆の力学的原理の無理解・認識不足という
低レベルスキルが直接原因だった。これに加えて、ATS未設置という
経営者のもうけ主義経営感覚、さらに、行政のチェック体制・機能不備が重なった。

もっと身近で切実な問題は、原発事故だ。

これも、原発そのものに対する低レベルスキル、『無理解』が、
そもそもの原因だった。

国民どころか、政治家、はては、原子力技術者含めて
原発の持つ本質的問題点・危険性に対する無理解が最大の原因だ。
この無理解が、金儲け資本の原発暴走を許してしまった。

さらに共通してみられる重大なポイントは、いずれの技術・システムも高度成長時代に
ほぼ完成の域に達したものであり、事故を起こした現代は、これら先人の築き上げた遺産の上に、
ただ、腰を下ろしているだけで、その技術・システムの成り立つ前提条件や
原理・原則について真剣に勉強して理解しようとせずに、つまり、無理解のまま、
単にゲーム感覚で運転した結果、起きた事故ばかりだった、と言っても過言ではない。

つまり、共通する問題点と対策をまとめると以下のようになる。

① 高度成長時代に完成の域に達した技術・システムの安全性に関する
  技術的諸問題の原理・原則に対する勉強・理解不足
② その運転にあたっての物理的限界の勉強・理解不足
③ ①②の理解徹底をはかるための社内研修の欠如
④ ③に対する社内チェック体制不備
⑤ ①~④に対する行政サイドの指導・チェック体制不備
⑥ したがって、対策は、以上の裏返しとなるが、
  対策の最大のポイントは、

   朴大統領をはじめとするすべての政治家など、リーダーたちは、
   自らが管轄するすべての重大システムの最低限、安全に関する
   基本的・技術的諸問題に関する必要最低限の原理原則の真の理解による
   認識の徹底をはかること。

   これが出来ないリーダーは即刻交代を要する。

無理解リーダーたちを放置する限り、『韓国客船転覆』事故は、
これからも後を絶たないだろう。

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