財務省『消費税引き上げの理由』のデマ!

2014年4月に8%、さらに2019年10月に、10%に上げるという 消費税。
財務省は、そのホームページで『消費税引き上げの理由』を以下のように 説く。
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消費税引き上げの理由

Q:なぜ所得税や法人税ではなく、消費税の引上げを行うのでしょうか?

A:ご質問にお答えいたします。

今後、少子高齢化により、現役世代が急なスピードで減っていく一方で、 高齢者は増えていきます。社会保険料など、現役世代の負担が既に年々 高まりつつある中で、社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを 行えば、一層現役世代に負担が集中することとなります。特定の者に 負担が集中せず、高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、 高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと考えられます。

また、ここ10年くらいで見ると、所得税や法人税の税収は不景気のときに 減少していますが、消費税は毎年10兆円程度(注)の税収が続いており、 税収が経済動向に左右されにくく安定した税と言えます。
図1税収の推移(財務省)————————————————————-

これを何も考えずに読むと、普通の人なら、

『あ、そうか、やはり消費税しかないのか』

とあきらめムードに誘導するきわめて問題なデマ文なのだ。

デマ1:『所得税や法人税の税収は不景気のときに減少しています』

財務省の作った図1を見ると、91年~93年を景気後退期として、この時期に所得税が急激に減少し、この傾向は、現在に至っている。
これを見ると、『なるほど、景気後退期だから、税収も減ったのか』と納得してしまいそうになるが、オットドッコイ!

次の図2をご覧いただきたい。
図2 日本の名目GDP・税収・最高税率の推移これは、縦棒グラフがわが日本の名目GDPの推移だ。
この中で、財務省の言う『景気後退期』なる91年~93年を見ると、名目GDPは、476、488、491兆円と、この3年間で3.2%の順調な伸びを示しており、『景気後退』など、どこにもない。

マクロ経済学の原理・原則 : 『税収と名目GDPは比例する』から、『GDPが伸びている限り、税収減は、起こりえない』のである。
したがって、図2で見ると、1997年までは、名目GDPは、順調に伸びているため、1997年までは、税収も順調に伸びることになるはずである。

ところが、同じ図2にでもそうだが、財務省の図1を見ると、税収は、1989年以降、長期低落傾向に陥っている。

名目GDPが伸びているにもかかわらず、税収が減少する、という現象が起こる原因は、ただ一つだ。

そう、税制が変わった、ということ以外にない。単純明快!!

図2を、再度、よく見ると、あるではないか、茶色の折れ線が、それだ。
年間所得8000万円以上の高額所得者の最高税率が、1982年の93%から2000年代には、約半分の50%にまで下がっている。さすがに下げすぎたと見えて、2007年以降、53%に若干引き上げている。

この富裕層の大幅減税が、あったため、税収が大きく落ち込んできたわけだ。
図2は、この茶色の折れ線の大幅減税が、税収を抑え込んでいる姿を、実によく表している。

つまり、財務省の『不景気による税収減』は、真っ赤なウソで高額所得層の大幅減税策がその原因であることを隠した犯罪的説明と言える

ここで、示した最高税率の引き下げとは、『富の適切な再配分』を実現する累進課税制 の骨抜きの一端であるが、では、この庶民の味方である累進課税制が、どのように骨抜き改悪されてきたのか、before(1982年) and after(現行2007年) を示す図3をご覧いただきたい。図3所得税+住民税(累進税率)の1982年・現行比較図3は、1982年当時と現行の累進税率体系を比較したものだ。
これを見ると、82年当時は、8000万円:93%まで、きめ細かに、累進税率、つまり、所得が高くなるほど、税率を高くする税率を設定・徴収し、税収源の重要部分を高額所得者からの税収に割り振っていたのだが、現行では、1000万円以上の税率を大幅に引き下げるとともに、1800万円以上は、53%定率として、高額所得層の税金を大幅にカットしてしまったわけだ。

これが、税収減の最大の原因だったわけである。

さらに、この累進課税体系が全体的にどのように変遷してきたのか、とくに、高額所得層を中心とした累進体系骨抜きの実態を、よりイメージしやすくするために、3D棒グラフで表してみたのが、図4だ。
図4 所得税+住民税累進税率の変遷
これを見ると、8000万円:93%から、徐々に切り下げられて、ついには、1800万円:53%まで、ジリジリと累進税制が骨抜きにされてきた実態がよくわかる。

さらに、この図4のエッセンスを取り出したものが図5だ。
図5累進課税制の骨抜き領域拡大と最高税率低減

この図で重要なポイントは、赤マークの消費税導入だ。高額所得層の所得税を減税し、その税収減を消費税に鞍替えした経緯が如実に示されている。

富裕層の所得税を、一般大衆課税である消費税に切り替えたのだ。

つまり、富裕層優遇策の累進税率撤廃と消費税導入は密接不可分の関係として計画的に導入されたと言える。

ところが、富裕層大減税の額が、あまりにも膨大な額であったため、
当初の消費税3%では、減収分を補いきれずに、97年には、5%に引き上げ
たが、それでも補いきれずに、今また、さらに引き上げようとしているわけだ。

ところで、我が国の家計資産は、1500兆円もある、とよく言われるが、
どうしてそんなにあるのか。われわれの実感覚では、ピンと来ない。

この富裕層大減税分が、そっくりそのまま、家計資産化してしまったのか?
という疑問が、当然起こってくる。

そこで、試算をしてみた。

① 1983年末家計資産:508兆円
② 1984年~2013年までの、1980年税率で計算した場合の税収と
実際の変遷税率で計算した場合の税収の差分の累計:946兆円

したがって、

① + ② = 1454 兆円

つまり、1500兆円のほとんどは、富裕層が大減税の恩恵に浴して溜め込んだ資産だったのだ。
富裕層は消費税の導入により、巨額な資産を築きあげることができたというわけだ。

したがって、結論としは、

『消費税増税ではなく、本来の姿、すなわち、所得税率を1980年当時の姿に
戻して、再び、高額所得層の皆さんには正規の所得税のご負担をしていただく』

ということになる。

デマ2:『所得税や法人税の引上げを行えば、一層現役世代に負担が集中する』

これまで説明してきたことから、このデマ2もすでに明らかだと思うが、『所得税や法人税の引き上げ』どころか、高額所得層の所得税率の引き下げが目的で、消費税は、その減収分穴埋め対策としての位置付けなのだ。

『一層現役世代に負担が集中する』『特定の者に 負担が集中せず、高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、 高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと考えられます』と高額所得層の大幅な減税策を隠したこの説明は、国民を欺く犯罪であると言える。

大幅減税の恩恵を受けていた富裕層は、図3から見ると、主に年収1000万円以上の世帯あるため1000万円以上の所得税率を1982年当時の税率に戻せば、税収は大きく回復する。

ここで、1000万円以上の世帯とは、全世帯の何割くらいになるのか、見てみよう。
厚労省の所得分布 図6)によれば、1000万円以上の世帯は全世帯の約1割にすぎない。
図6所得分布
つまり、全世帯の9割は、現状のまま増税なしで、残りの1割の富裕層の皆さんだけ、1982年当時の税率にすれば、大増収になるわけだ。

さきほど計算した差分をプラスした推定増収をグラフにしたのが、図2緑色の折れ線グラフだ。

これを見れば、『財政赤字』など、いっぺんに解決することがわかる。

しかも、現役世代の9割には、無傷で、大増収がはかれるのだから、デマ2は、やはりデマだったのだ。

 

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