日米ガイドライン新旧比較で見える日本の未来

安倍首相は、既存の10本の法律を1本の戦争法案に仕立て上げようとしていますが、
これを個別に見ても、よく見えません。

その目指すものは、日米ガイドラインの新旧比較、つまり、

《2015年版 日米防衛協力のための指針》と

《1997年版 日米防衛協力のための指針》

を比較して見ると、一目瞭然です。

安倍首相の企図する安全保障法体系は、この新ガイドラインに沿って
作られているからです。

国会答弁で、安倍首相が、何と誤魔化そうとも、米国政府との間では、
この新ガイドラインがすべてである
ために、自衛隊の行動は、このガイドラインに
ある形で米軍の軍事戦略にすでに組み込まれ済み、ということなのです。

したがって、このガイドラインを破棄しない限り、わが自衛隊は、米軍戦略の下に、
自動的に組み込まれ、このガイドラインに沿った行動をしなければならないわけです。
つまり、世界の憲兵として、米軍指揮のもと、世界中どこへでも行って戦争を
しなければならなくなったわけです。

新ガイドラインの最大の特徴というか問題は、従来のガイドラインが、わが国周辺地域に
おける専守防衛に徹していたのが、新ガイドラインでは、自衛隊の行動エリアを
米軍の世界戦略に沿った形で、地球規模に拡大し、
さらに米国以外の多国籍軍も
含めた戦略体系に組み込まれたこと
です。

新旧比較をしたのが、下表です。

この中で、ピンク色部分の

  Ⅳ 日本の平和及び安全の切れ目のない確保

    D.日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動

  V.地域の及びグローバルな平和と安全のための協力

が、問題の戦争ガイドラインと言われる部分です。

具体的に文言を見ると、

   武力の行使を伴う適切な作戦を実施

の他、

日米両政府の各々がアジア太平洋地域及びこれを越えた地域の
平和及び安全のための国際的な活動に参加することを決定する場合、
自衛隊及び米軍を含む日米両政府は、相互に及びパートナーと
緊密に協力する。

   日米両政府は、・・・三か国及び多国間の協力を追求する。

日米両政府が、大規模な人道災害・・・を受けた関係国政府又は
国際機関からの要請に応じて、
国際的な人道支援を実施する場合、
日米両政府は、自衛隊と米軍との間の相互運用性を最大限に
活用しつつ、相互に支援を行うため緊密に協力する。

協力して行う活動の例には、機雷掃海等、大量破壊兵器の不拡散の
ための取組及びテロ対策活動
のための取組を含み得る。

以上、総合してみると、理由がつくならば、自衛隊は、グローバル規模で、米軍戦略の
もとで積極的に協力して
いく、という姿が見えてきます。

そして、自衛隊のリスク とわが ”敵国” は、無制限に増大していきます。

安倍首相の異常な執念は、《平和》 の名のもとに 《戦争》 への道に、わが国を
引きずり込もうとしています。

まず、しなければならないことは、新ガイドラインを破棄し、とりあえず旧ガイドラインに戻ることです。

 

《日米防衛協力のための指針》 1997年版 2015年版 比較

2015年版の米世界戦略参入カ所

1997年版 2015年版 2015年版の問題原文
Ⅰ 指針の目的 Ⅰ 防衛協力と指針の目的
Ⅱ 基本的な前提及び考え方 Ⅱ 基本的な前提及び考え方
Ⅲ 平素から行う協力

1 情報交換及び政策協議

2 安全保障面での種々の協力

3 日米共同の取組み

Ⅲ 強化された同盟内の調整
A.同盟調整メカニズムB.強化された運用面の調整C.共同計画の策定
Ⅳ 日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等

1 日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合

2 日本に対する武力攻撃がなされた場合

Ⅳ 日本の平和及び安全の切れ目のない確保A.平時からの協力措置B.日本の平和及び安全に対して発生する脅威への対処C.日本に対する武力攻撃への対処行動
Ⅴ 日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力

1 周辺事態が予想される場合

2 周辺事態への対応

D.日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動 自衛隊は、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態に対処し、日本の存立を全うし、日本国民を守るため、武力の行使を伴う適切な作戦を実施する。
E.日本における大規模災害への対処における協力
V.地域の及びグローバルな平和と安全のための協力A.国際的な活動における協力

1. 平和維持活動

2.国際的な人道支援・災害救援

3.海洋安全保障

4.パートナーの能力構築支援

5.非戦闘員を退避させるための活動

6.情報収集、警戒監視及び偵察

7.訓練・演習

8.後方支援

B.三か国及び多国間協力

日米両国は、アジア太平洋地域及びこれを越えた地域の平和、安全、安定及び経済的な繁栄の基盤を提供するため、パートナーと協力しつつ、主導的役割を果たす。

日米両政府の各々がアジア太平洋地域及びこれを越えた地域の平和及び安全のための国際的な活動に参加することを決定する場合、自衛隊及び米軍を含む日米両政府は、適切なときは、次に示す活動等において、相互に及びパートナーと緊密に協力する。

A.国際的な活動における協力

日米両政府は、各々の判断に基づき、国際的な活動に参加する。共に活動を行う場合、自衛隊及び米軍は、実行可能な限り最大限協力する。

日米両政府は、適切な場合に、同盟調整メカニズムを通じ、当該活動の調整を行うことができ、また、これらの活動において三か国及び多国間の協力を追求する。自衛隊及び米軍は、円滑かつ実効的な協力のため、適切な場合に、手順及びベストプラクティスを共有する。日米両政府は、引き続き、この指針に必ずしも明示的には含まれない広範な事項について協力する一方で、地域的及び国際的な活動における日米両政府による一般的な協力分野は次のものを含む。

1. 平和維持活動

日米両政府が国際連合憲章に従って国際連合により権限を与えられた平和維持活動に参加する場合、日米両政府は、適切なときは、自衛隊と米軍との間の相互運用性を最大限に活用するため、緊密に協力する。日米両政府はまた、適切な場合に、同じ任務に従事する国際連合その他の要員に対する後方支援の提供及び保護において協力することができる。

2.国際的な人道支援・災害救援

日米両政府が、大規模な人道災害及び自然災害の発生を受けた関係国政府又は国際機関からの要請に応じて、国際的な人道支援・災害救援活動を実施する場合、日米両政府は、適切なときは、参加する自衛隊と米軍との間の相互運用性を最大限に活用しつつ、相互に支援を行うため緊密に協力する。協力して行う活動の例には、相互の後方支援、運用面の調整、計画策定及び実施を含み得る。

3.海洋安全保障

日米両政府が海洋安全保障のための活動を実施する場合、日米両政府は、適切なときは、緊密に協力する。協力して行う活動の例には、海賊対処、機雷掃海等の安全な海上交通のための取組、大量破壊兵器の不拡散のための取組及びテロ対策活動のための取組を含み得る。

・・・

8.後方支援

日米両政府は、国際的な活動に参加する場合、相互に後方支援を行うために協力する。日本政府は、自国の国内法令に従い、適切な場合に、後方支援を行う。

B.三か国及び多国間協力

日米両政府は、三か国及び多国間の安全保障及び防衛協力を推進し及び強化する。特に、日米両政府は、地域の及び他のパートナー並びに国際機関と協力するための取組を強化し、並びにそのための更なる機会を追求する。

日米両政府はまた、国際法及び国際的な基準に基づく協力を推進すべく、地域及び国際機関を強化するために協力する。

Ⅵ.宇宙及びサイバー空間に関する協力A.宇宙に関する協力B.サイバー空間に関する協力 A.宇宙に関する協力

各々の宇宙システムが脅威にさらされた場合、自衛隊及び米軍は、適切なときは、危険の軽減及び被害の回避において協力する。

B.サイバー空間に関する協力

Ⅵ 指針の下で行われる効果的な防衛協力のための日米共同の取組み

1 計画についての検討並びに共通の基準及び実施要領等の確立のための共同作業

2 日米間の調整メカニズム

Ⅶ.日米共同の取組A.防衛装備・技術協力B.情報協力・情報保全C.教育・研究交流
Ⅶ. 指針の適時かつ適切な見直し Ⅷ.見直しのための手順
別表:周辺事態における協力の対象となる機能及び分野並びに協力項目例
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